【3489】 ◎ マーシャル・ゴールドスミス/マーク・ライター (斎藤聖美:訳) 『コーチングの神様が教える「できる人」の法則 (2024/02 日経ビジネス人文庫) 《(2007/10 日本経済新聞出版社)》 ★★★★☆

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○経営思想家トップ50 ランクイン(マーシャル・ゴールドスミス)

ベストセラーの17年を経ての文庫化。改めて啓発される要素が多々ある。

コーチングの神様が教える「できる人」の法則3.jpgコーチングの神様が教える「できる人」の法則 文庫.jpg コーチングの神様が教える「できる人」の法則 2.jpg マーシャル・ゴールドスミス.jpg マーシャル・ゴールドスミ
コーチングの神様が教える 「できる人」の法則 (日経ビジネス人文庫)』['24年] 『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』['07年]

 本書の著者マーシャル・ゴールドスミスは、エグゼクティブ・コーチングの第一人者であり、GEのジャック・ウェルチをはじめ、世界的大企業の経営者80人以上をコーチしたことで知られる人で、本書は2007年に刊行された世界的ベストセラーの17年を経ての文庫化になります。

トリガー.jpg 米アマゾンによれば、本書『コーチングの神様』と、同じく今回文庫化された『トリガー』は、「リーダーシップ本と成功本のトップ100リスト」(古典から現代までの経営本、自己啓発本で構成)に入っており、著者は、そのトップ100リストに2冊もランク入りしている、唯一の存命の作家(2024年時点)であるとのことです。

トリガー 6つの質問で理想の行動習慣をつくる (日経ビジネス人文庫)』['24年]
 
 PART1「成功の落とし穴」では、第1章で、エグゼクティブ・コーチという仕事の役割は、エグゼクティブの悪い癖を直すことであるとした上で、第2章で、成功した人ほど変化を嫌う傾向にあり、その理由は、自分はスキルがある、自信がある、モチベーションが高い、みずから成功を選んでいる、という思い込み的な信念(=迷信)があるためとしています。

 PART2「あなたをさらなる成長から遠ざける20の悪癖」では、第3章で、何か行動する以上に、何かの行動を「やめる」ことが重要であると説き、第4章で、「20の悪い癖」を挙げて誤った行動を直す方法を具体的に解説しています。

 因みに、著者が指摘する、経営者やリーダーの多くが持っていて、それが職場に悪い影響を与えているという「20の悪い癖」とは以下の通り(他人だけでなく自身についても、思い当たるフシがある人も多いのではないか)。
  1. 極度の負けず嫌い
  2. 何かひと言よけいなことを言う
  3. 善し悪しの判断をくだす
  4. 人を傷つけるコメントをする
  5. 「いや」「しかし」「でも」から始める
  6. 自分の賢さを誇示する
  7. 怒っているときに話す
  8. ネガティブなコメントをする
  9. 情報を教えない
  10. きちんと他人を認めない
  11. 他人の手柄を横どりする
  12. 言い訳をする
  13. 過去にしがみつく
  14. えこひいきする
  15. 謝らない
  16. 人の話を聞かない
  17. お礼を言わない
  18. 八つ当たりする
  19. 責任回避をする
  20. 「わたしはこうなんだ」と言いすぎる

 さらに、第5章で21番目の癖として、「目標に執着しすぎる」もよくないとしています。

 PART3「どうすればもっとよくなれるのか」では、「対人関係を変え、よいつながりを長続きさせる7つのステップを学ぼう」として、第6章から第12章にかけて、以下のステップをそれぞれ解説しています。
  第6章〈ステップ1〉フィードバックのスキルを磨く
  第7章〈ステップ2〉 謝罪する
  第8章〈ステップ3〉 公表する・宣伝する
  第9章〈ステップ4〉 聞くこと
  第10章〈ステップ5〉 感謝する
  第11章〈ステップ6〉 フォローする
  第12章〈ステップ7〉 フィードフォワードを練習する

 PART4「「自分を変える」ときの注意すべきポイント」では、「変化のためのコーチングをいかに使うか、何をやめるべきかを学ぶ」として、第13 章で「自分を変える」8つのルールとして、以下を挙げています。
  ルール1 行動を変えることでは直せない問題もある
  ルール2 正しいものを直そうとするように
  ルール3 本当に何を変えなくてはいけないか、を勘違いしないように
  ルール4 聞かなくてはならない真実から逃げない
  ルール5 理想的な行動はどこにもない
  ルール6 計画可能なら、達成可能になる
  ルール7 結果をお金に変え、解決策を見つけよう
  ルール8 最高の変わるタイミングは、今だ

 さらに、第14章で、部下やスタッフの扱い方について述べています。

 そして、最後に、「コーチングすべきでない人をコーチするのはやめよう」として、例として「変化を望まない人」などを挙げていますが、自分自身がそちら側にならないように意識することも大切だと思わされました。

 著者自身の経験に近いところの事例が豊富で、語り口も非常にわかりやすいものとなっています。読んでいて、自分自身がコーチングを受けているような気持になる本です。「20の悪い癖」や「つながりを長続きさせる7つのステップ」などは、読むたびに改めて啓発される箇所が少なからずあり、未読の人はもちろんのこと、既に読まれている人も、文庫化を機に読み直してみるのもいいのではないかと思います。


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